仕事が始まった。
初仕事は介護福祉士養成の専門学校での講義だった。
コミュニケーション技術(視覚障害の理解)というのが僕の担当科目だ。
視覚障害の現状、障害の意味、特性、支援方法などを教えなければならない。
講義だけではなく演習にも関わる。
自分の個人的な体験だけでは深い内容にはならない。
自分自身が学び続けることが大切だ。
勉強は嫌いだったはずなのに、
仕事となったら真面目に取り組んでいるから不思議なものだ。
専門学校や大学の講義は一コマが90分の設定だから、結構体力も要る。
時々2コマ連続で実施することもあるのだが、終わったら疲労感を覚える。
上手に手抜きをするのも技術だと言われるのだが、僕のレベルではそうはいかない。
今回は1コマの通常の講義だったが、初対面の学生達だったので結構疲れた。
帰路、学校から駅までを学生達がサポートしてくれることになった。
ジェンさんとクリスさんとケイさんの3人のフィリピンからの留学生達だった。
日本語は一応大丈夫というレベルだ。
教える法も学ぶ法も大変だ。
視覚障害者のサポートは初めてとのことだった。
僕はポイントポイントで止まって、ゆっくりと教えた。
道順は僕が頭の中の地図でリードした。
彼女達はそれに驚いていたようだった。
とにかく無事に駅まで着いた。
大切なのは、相手を思う気持ちなのだろう。
僕は改札を入って、振り返って、彼女達にバイバイをした。
彼女達も笑顔でバイバイをした。
(2020年1月8日)