今年も残りわずかとなった師走の数日を僕は東京で過ごした。
同行援護の研修に参加するためだ。
受講生の皆さんは視覚障害者ガイドヘルパーの養成に携わっておられる先生方だ。
まさにプロの学びの場だ。
毎回、全国から集われて定員いっぱいとなっている。
僕は当事者として参加している。
光栄なことだと思う。
せっかくの機会、仲間の思いを伝える役目ができればと思っているのだが、
実際には僕では力不足の部分も多い。
他の講師陣に助けてもらいながら何とかやっているというのが現状だ。
それでも講座の終了日、僕の中にはささやかな満足感が生まれていた。
受講生の皆さんと交わした何気ない会話、意見のやりとり、質問への対応、そのひと
つひとつに真剣さが潜んでいた。
その真剣さがここまでの歴史を刻んできたのだろう。
僕が3歳の時に日本で白い杖が登場した。
高校生の頃にガイドヘルパーが始まった。
役場と病院にしか行けない制度だった。
それ以外の外出を先輩達は命がけでやっておられたということだ。
全国をカバーする同行援護の制度が登場したのが2011年、
まだまだ改善していかなければならない部分は多くある。
普通に生きていきたい僕達がいて、それを応援してくださる人達がいてくださって、
やっとここまでこれた。
でも、ゴールはまだまだ遥か向こうだ。
受講生の皆さんの真剣さの中にはそれぞれあたたかなぬくもりがあった。
一気に劇的に変えていくようなぬくもりではない。
でも、決して揺るがない消えることのないぬくもりだ。
見えない僕の胸にそっと伝わってきた。
今年もまた、師走の東京はやさしい思い出となった。
(2019年12月23日)