初夏になると食べたくなるもののひとつがさくらんぼだ。
一年という時の流れの中ではほんの一瞬の果物かもしれない。
年に一度だからと贅沢して大粒を口に含む。
甘いが、ほっぺたが落ちるほどの美味しさでもない。
でもうれしくなる。
なんとなく幸せになる。
色を尋ねると赤とピンクの中間らしいが、
僕の頭の中では下地が黄色で赤やピンクに染まっている。
いくら尋ねても僕の想像とは違う。
20代の頃、果物屋さんで見たのは確かにそんな感じだったような気がする。
高価で食べる機会はほとんどなかった。
10歳代では缶詰のさくらんぼがあった。
お店でソーメンを食べると入っていた。
フルーツポンチにも入っていた。
色付けしているのは僕にも判った。
朱色に近かったような気がする。
子供の頃はさくらんぼ自体を知らなかった。
時代によって変わっていくのかもしれない。
品種だけでなく、物流の技術なども関係しているのだろう。
昔も今も、口に含んだら幸せ感を感じるのは何故だろう。
可愛らしい形状だからかな。
さくらんぼを口に含んで空を眺めたら、
やっぱり真っ青な夏の空だった。
夏が始まるんだ。
(2019年7月9日)