視覚障害のリハビリを終了した仲間の同窓会があった。
ライトハウスには100名を超す人が集まった。
昨年の修了生も20年前の修了生も同じテーブルで歓談した。
現役の訓練生も恩師の先生方も一緒になった。
仲間の講演には心が震えた。
それぞれがそれぞれの人生を歩いていることを再確認した。
ボランティアの方も多く参加してくださった。
大学生から後期高齢者の方まで年齢層もいろいろだったが、
寄り添ってくださる思いは同じだった。
予定のプログラムがすべて終了して役員はほっとしていた。
反省会が始まるまでのわずかな時間のことだった。
ボランティアの男性が僕に話しかけられた。
「松永さん、目の前の壁面の大きなガラス窓を知っている?」
もう20年近く出入りしているのに知らなかった。
見えないとはそういうことだ。
「千本通りを挟んで低いビルがあるんだけど、
その上に比叡山がはっきりと見えるんだよ。
西日を浴びてとても美しい。一枚の絵だね。」
僕の頭の中に美しい比叡山が蘇った。
見えている頃、よく比叡山を見ていた。
四季折々に見ていた。
大好きな山だった。
窓ガラス一杯の比叡山が僕の頭の中一杯になった。
ひょっとしたら、もう見ることができないのは悲しいことなのかもしれない。
でも、その時の僕には喜びだけがあった。
幸福感に包まれていた。
仲間と集う、寄り添ってくださる人達と交わる、それはとても幸せな時間。
父の日に大好きなボランティアさんと会えて、やっぱりいい一日となった。
(2019年6月17日)