今年度も京都の小学校での福祉授業がスタートした。
小雨の中、いろいろな道具を詰め込んだリュックを背負って学校へ向かった。
教室では10歳の子供達が待っていた。
僕は視覚障害がどういうことか、どうしてなるのか、どんなことに困るのか伝えた。
できることとできないことを教えた。
そして共に暮らせる社会について皆で考えた。
点字も教えた。
一緒に給食もいただいた。
最後の反省会、いつものようにうれしい質問がならんだ。
「夢は見ますか?」
「うるさい音は嫌いですか?」
「どんな町になればいいですか?」
「どうしてサングラスをかけているのですか?」
「お風呂はどうするのですか?」
「白杖に鈴をつけているのはなぜですか?」
「見えなくなって良かったことってありますか?」
「服はどうやって選びますか?」
「食事は困りませんか?」
「もう一回見えたら何を見たいですか?」
僕はひとつひとつの質問に丁寧に答えた。
子供達は僕の毎日を想像し僕の人生を覗き込んだ。
僕は子供達のキラキラした眼差しを思い浮かべた。
担任の先生は最後に子供達に感想を求められた。
たくさんの手が挙がった。
予定の時間をオーバーして子供達はメッセージを言葉にした。
それぞれの感想は未来を見つめたものだった。
光が溢れる未来だった。
僕はとってもうれしかった。
最前列の男の子が僕の生き方について感想を語ってくれた。
「かっこいいと思います。」
僕は驚きながら素直にうれしかった。
10歳の少年と62歳の白杖を持ったおじさん、言う方も言われる方もいいなと思った。
僕が10歳の頃、障害を持った人にそういう感想を持つことはできなかった。
悲しい寂しい暗いイメージだった。
いろいろな立場の人を知ること、
子供達の人生そのものが豊かになっていくのかもしれない。
(2019年6月11日)