高校時代の同級生の車で中学校へ向かった。
片道1時間以上のドライブとなった。
思い出話に花が咲いた。
化学の時間、僕と彼女は隣り合わせの席だったらしい。
ノートも鉛筆も持たずに授業を受けている僕を彼女は幾度か諭したとのことだった。
でも、効果はなかったようだ。
その姿勢がそのままそれからの人生に影響を与えていったのだろう。
彼女は子供の頃からの夢だった教職を天職として人生を歩んだ。
僕はいい加減な人生を歩んだのかもしれない。
優等生も劣等生もそれぞれの人生を歩いていったのだ。
45年の時間を超えて、僕達はまた隣同士の席に座った。
彼女は運転席、僕は助手席。
もう諭されることはなくなった。
仕方がないとあきらめてくれたのだろう。
でも、フロントガラスに映るアジサイの色合いはそっと伝えてくれた。
アジサイの豊かな色合いが蘇った。
そして、高校生の頃の彼女の笑顔が蘇った。
(2019年6月2日)