桜と紅葉の季節の京都は観光客が多くなる。
場所によっては凄い人口密度だ。
それも半端じゃない。
世界の観光都市のひとつなのだから仕方ない。
それによって地域が潤っているのも事実だし、
この歴史のある京都が僕自身も大好きだ。
ただ、白杖で移動する僕達には結構大変だ。
障害者がどれだけ社会に参加しているかは国によってだいぶ違う。
そしてそれぞれの国の文化も違う。
点字ブロックは日本で考案されたものだが、その意味を知らない外国人も多い。
それは外国だけではない。
同じ日本でも日常にどれだけ白杖の人が風景の中にいるかは違うだろう。
日本中から、そして世界の各地から桜を求めて人が集まる。
白杖が人波に飲み込まれそうになったり、進路がふさがれたりする。
でも、それは故意でもないし仕方のないことなのだ。
かと言って外出しないわけにもいかない。
結局は白杖の技術を磨くしかないのだろう。
今日も数人とぶつかってしまった。
「すみません。」
「sorry」
しっかりと声を出すのも大切な技術のひとつだ。
バス停の点字ブロックでぶつかった人に謝った。
「いえいえ、大丈夫です。」
返してくださった。
数分後、バスのエンジン音がした。
「206号のバスですよ。」
先ほどの方が教えてくださった。
僕は感謝を伝えた。
見えなくなってから使用頻度が増えた言葉、
「すみません」と「ありがとう」。
それは悲しいことではなくてうれしいことなのかもしれない。
桜の咲く季節、桜色に染まる京都を僕も溶け込んで歩いていきたい。
(2019年4月8日)