桜餅の香りを嗅ぐ。
それが直接桜に結びつくわけでもない。
特別に甘いものが好きでもない。
それでもなんとなくうれしくなるのは何故だろう。
春に参加しているという感覚だろうか。
昨日も桜まつりの会場でボランティアさん達と会話をした。
「今年の桜はまだですね。」
「ちらほら咲きってところですかね。」
「来週くらいが満開になりそうですね。」
見てはいないのに、さっき見たように話をしている。
もう二十年以上も見てはいないのに、知っているかのように話をしている。
照れくささを隠すみたいに桜餅をかじる。
ほんのりと口中に桜が舞う。
僕もここにいる。
僕も春の中に存在している。
そうありたい。
(2019年3月31日)