故郷の同級生が送ってくれた宅急便に入っていた。
大きさは普通のみかんくらいだった。
持ったらなんとなくちょっと重たく感じた。
皮をむこうとして親指を突き刺した瞬間に柑橘系の香りが溢れてきた。
皮はむきやすくはなかったが一応むけた。
一房を口に放り込んだ。
内皮は柔らかかった。
果汁がいっぱいだった。
噛んだら何とも言えない甘さが口中に広がった。
甘さと酸っぱさのバランスが絶妙だった。
一房、また一房、あっという間に一個を平らげてしまった。
食べながら同級生の声を思い出した。
空港まで送ってくれた彼女は微笑みながら言った。
「健康に気をつけて頑張ってね。」
本当に気をつけようと真面目に思った。
(2019年3月4日)