地元の視覚障害者施設で月2回の相談支援の仕事をしている。
当事者の相談員として当事者と向かい合うのだ。
僕自身の資質はともかくも意味のあることだと思っている。
そして僕よりもはるかに大変な状況を抱えて生きている仲間から学ぶことは大きい。
バスを利用しての通勤が多かったのだが、
最近は努めて歩いていくようにしている。
健康作りもあるのだがそれだけではない。
見えないで歩くというのはどういうことなのか、当たり前のことを再確認している。
時間にして30分、1キロ程度の距離なのでそれもいい。
大きな交差点が最大の難所だ。
音響信号も付いているので青の確認は容易なのだが、
道路が斜めに交差しているのでつい感が狂ってしまう。
恐怖感を押さえてから、気合を入れて渡らなければいけない。
今朝もその交差点で点字ブロックを確認して一旦停止した。
気持ちを整えて渡ろうとした時だった。
「おはようございます。」
女性が僕の真横にきてくださった。
僕は挨拶を返しながら彼女の肘を掴んだ。
条件反射みたいに肘を掴んだ。
僕達はそのまま信号を渡った。
勿論、彼女が誰なのかは分かっていない。
渡り終えたところで、彼女の行先を尋ねた。
途中までは僕と同じ方向だと分かった。
僕はそのままサポートをお願いした。
「以前、カード頂きました。」
彼女はそう言いながらそのまま普通に歩いてくださった。
工事中の場所などがあったりしたが、
彼女がいてくださったお陰で問題なく通過できた。
分岐点まで着いてからお礼を言った。
「とっても助かりました。ありがとうございました。」
これで二度助けてもらったが、声で判別できるほどの記憶はできていない。
また今度出会ってもきっと分からない。
でも彼女は助けてくださるだろう。
お互いを認識できるかなんてたいしたことじゃない。
手伝う勇気が持てるかどうかが重要なのだろう。
僕の相談支援の仕事もそれが大切なのだと思った。
ささやかでいいから、誰かの力になれるような仕事をしたい。
(2月18日)