ふきのとうの塩漬けをご飯の上に乗せる。
それをゆっくりと口に運ぶ。
ふきのとうのほろ苦さが口中に広がる。
いつもは鈍感になってしまっているご飯の甘さにも気づく。
キラキラと輝くご飯粒の上に深緑色のふきのとうが寝転ぶ。
気恥ずかしそうに寝転ぶ。
しばらく見つめてからまた口に運ぶ。
見えてはいない筈なのに見つめてしまう。
その動きに自分では何の違和感もない。
ほろ苦さを愛おしく味わう。
どこかで春が生まれ始めているのかもしれない。
そんな思いが僕自身の心を高揚させる。
もうすぐ春に会えるんだ。
また会えるんだ。
うれしくなる。
(2019年1月30日)