年明けの大学の講義がスタートした。
キャンパスは学生達でにぎやかだった。
僕は21号館の教室へ向かうため、エレベーターを待っていた。
突然、横から挨拶の声が聞こえた。
前年度、僕の科目を受講していた学生だった。
背がとても高かったし、声も記憶していたのですぐに判別できた。
その頃は金髪だったのも憶えていた。
「今、髪の毛は何色?」
僕は笑いながら尋ねた。
「今は赤茶色ですよ。」
彼も笑いながら答えた。
それから、卒業後の進路が決まったことを教えてくれた。
愛知県に行くとのことだった。
初めての一人暮らしへの期待と不安が感じられた。
夢に向かって歩き始めている若者の姿があった。
彼の笑顔はキラキラしていた。
まぶしかった。
僕達は自然に握手した。
彼もうれしそうに笑った。
もうすぐ春が来るんだと思った。
(2019年1月18日)