講演にお招き頂いた中学校、挨拶をすませた後、出されたお茶を頂いていた。
「松永さんが以前京都新聞に連載されていたコラムを楽しみに読んでいました。」
先生はそっと僕に伝えてくださった。
新聞に写真も掲載されていたので、待ち合わせの場所でもすぐに僕を見つけられたと
もおっしゃった。
「見た目に変化はないということですね。」
僕は笑いながら返した。
京都新聞への連載はもう10年以上前のことだ。
視覚障害を正しく知って欲しい、誰もが参加しやすい社会になって欲しい、
そして一人でも多くの人に読んで頂ければという願いを持って書いていた。
10年の時を超えて、願いが届いていたことを実感した。
僕と先生との距離は一気に縮まった。
わずかの時間ではあったけれども、福祉や教育について大人同士として語り合った。
教育者と当事者、同じ未来を見つめていることを確認した。
それから会場に向かい、生徒達に話をした。
いつものように話をした。
次の時代を創っていく生徒達に希望を話した。
未来への種蒔きだ。
いつかきっと、種は発芽する。
一人一人が大切にされる未来、誰もが笑顔になれる未来につながる。
今年ももっともっと頑張ろうという思いを強くしながら学校を後にした。
(2019年1月12日)