「薄雲がかかった夕日は優しいオレンジ色に辺りを染めています。
川面はキラキラ輝き、歩道脇のイチョウは黄金色に輝いています。」
彼女のメールは1枚の写真のようだった。
僕は見たことのない晩秋の風景を想像した。
僕の頭の中でイチョウの葉が舞い始めた。
オレンジ色に輝く光の中をイチョウの葉がゆっくりと舞った。
雪のように静かに舞った。
現実にはあり得ない風景だった。
そしてイチョウの向こう側で彼女が笑った。
見たことのない彼女の笑顔がキラキラしていた。
彼女が一番届けたかったのは秋を感じた喜びだったのだろう。
僕は空を見上げて深呼吸した。
そして笑顔になった。
(2018年11月25日)