家の中では白杖は使わない。
外出の時には必ず持つが帰宅したら玄関の傘立てに立てている。
サングラスも整理ダンスの一番上の引き出しに片付けている。
室内は触覚を使って移動している。
この触覚は手のひらだけではない。
手の甲、腕、身体中の触覚がセンサーみたいなものだ。
あっちを触りこっちに触れあちこちに当たりながらすりながら移動するのだ。
人の気配がある時は声も出す。
「通ります。通ります。」
つぶやきながら歩くのだ。
それで一応安全に日常生活が成り立っている。
ただ慣れというのはいい加減な行動につながってしまいがちだ。
油断が生まれたりする。
今朝もそうだった。
いつものように前方に出した手が少しずれていたのだろう。
柱の角に思い切りぶつかった。
一瞬で目が覚めた。
痛さに立ちすくんだ後、額を触ったら案の定濡れていた。
出血だ。
顔を洗って綺麗に流してからバンドエイドを貼ってもらった。
一年に一回くらいはやってしまう。
目が見えなくなった最初の頃はこの痛さに気持ちまでが萎えてしまっていた。
最近はまたやってしまったかという感じだ。
そして何故ぶつかったかの分析をしたりしている。
ぶつかってしまう技術が悔しいのだろう。
気持ちも鍛えられていくのだな。
鍛錬みたいなものかな。
でもやっぱりぶつかりたくないです。
痛いのは嫌ですからね。
極めるまで頑張ります。
(2018年11月17日)