同級生の肘を持ち白杖で段差を確認しながら一段ずつ上っていった。
高校生の頃は駆け上った記憶もある。
そこを息を切らしながら、時々よろけながら上っていった。
これは目のせいではないよなと思いながら上っていった。
手を清めてから参拝した。
また来れたということへの感謝が湧き出た。
腰を下ろして空気を深く吸い込んだ。
肺臓が喜んでいるような気がした。
帰り際に参道の楠の木を触った。
樹齢700年前後と案内板に書かれてあった。
高さ20メートル、枝ぶりは30メートル、
根元の幹の部分は人間が両手を広げても何人も必要な感じだった。
そして生きていた。
木の肌から感じる微妙な湿気が生命を教えてくれていた。
それだけで心が落ち着いた。
そして小さな僕の生命、愛おしく感じた。
(2018年10月20日)