彼は僕をコーヒー専門店に案内してくれた。
年明けに予定されている講演会の打ち合わせが目的だった。
僕達はおいしいコーヒーを飲みながら打ち合わせをした。
主催者としての講演への思い、当日のスケジュールの説明などを聞いた。
それから、京都から会場までのアクセスや宿泊ホテルなどの確認もすませた。
店内に漂うコーヒーの香りはそれだけで僕を幸せにしていた。
打ち合わせを終えて役員さん達との会食の会場へ向かう前、
彼は2枚の点字の文書を僕に手渡した。
1枚目にはこれから一緒に食事をする役員さんの肩書きなどが書かれてあった。
初対面の人達とのコミュニケーションがうまくいくようにとの配慮が感じられた。
2枚目には食事の献立が書かれてあった。
食いしん坊の僕を理解してのことだろう。
ちなみに点字文書はわざわざボランティアさんに依頼して作られたとのことだった。
その流れでの会食はとても豊かな時間になった。
「肩の凝らないざっくばらんなメンバーです。」
彼の説明通りだった。
仕事を終えて各地から参集してくださった役員さん達は皆あたたかかった。
そしてイベントを成功させようとの思いが団結していた。
単純に講師に過ぎない僕までもがその輪の中に入れてもらえたような気になった。
楽しいおいしい時間だった。
心のこもったおもてなしに、僕も心でこたえたいと強く思った。
(2018年10月18日)