酷暑の中の講座は大変だった。
教える方も学ぶ方も体力勝負だった。
無事終了してどちらもに笑顔が生まれた。
安堵感の笑顔だった。
二人の学生が講座の帰りに僕の買い物を手伝ってくれた。
将来病院の眼科で働こうと考えている学生達だ。
正しく知るということは凄いことなのだろう。
見えない人と会話さえしたことのなかった学生達がほぼ完璧に僕のサポートをした。
一緒に街を歩き電車やバスに乗車した。
スーパーマーケットでは僕の欲しい商品を見つけてそれを僕に触らせた。
賞味期限も値段も読んでくれた。
もうすぐ土用の丑という店内広告も教えてくれた。
ウナギ大好きの僕はついつい買ってしまった。
買い物が終わると持参したエコバッグに商品を詰めてくれた。
それからバス停に向かった。
丁度バスが到着していた。
僕たちは走った。
ギリギリ間に合った。
そこで学生達とはお別れだ。
僕はバスに乗り込んだ。
すぐに乗客の方が僕を座らせてくださった。
閉まりかけた乗り口から学生達の声が聞こえた。
「ありがとうございました。」
僕は顔をそちらに向けて手を振った。
学生達も笑顔で手を振った。
どこかで困っている僕の仲間を見かけたら、
きっと彼女達は声をかけてくれるだろう。
そう思うと僕はバスの中でまた笑顔になった。
(2018年7月16日)