時々思い出しながら、なかなか声を聞く機会はなかった。
体調はどうですかと尋ねるタイミングも頻度もそれなりに気を使う。
電話の向こう側の先輩の声は明るかった。
お元気そうだった。
見たことはないのに先輩の笑顔を思い浮かべた。
一億人以上の数の人が暮らすこの国で、
人間が一生に出会えるのは一万人くらいだと聞いたことがある。
その中で心のやりとりまでできるのはどれくらいだろう。
運命ってあるのかもしれない。
先輩の笑顔を思い浮かべた僕も笑顔になった。
先輩が一日でも長く元気でいてくださるようにと自然に祈った。
深く祈った。
(2018年6月8日)