灰汁で炊かれた竹の皮は茶色に変化していた。
その竹の皮を剥がすと黄金色にも似た灰汁まきが横たわっていた。
僕達は灰汁まきではなくて粽と呼んでいた。
もち米だけでできているとは思えない風貌だった。
母ちゃんが糸を使って適当な大きさに切り分けてくれた。
それに砂糖と黄な粉をまぶして食べた。
5月5日の端午の節句の頃に食べていた。
子供の頃はそれを特別においしいと思ったことはなかった。
それなのに遥か彼方の記憶の中にしっかりと生きている。
年を重ねながら蘇ってくる記憶には何か意味があるのかもしれない。
兜を愛用するような勇猛果敢な人生はおくれなかった。
弱虫の男の子だったのだろう。
でも竿からはずれたこいのぼりのように自由に生きてこれた。
臆病者だから大空を逃げ回っていたのかな。
戻っていく川を探し続けているのかもしれない。
久しぶりにちまきを食べてみたくなった。
(2018年5月5日)