ふきのとう、タラの芽、タケノコ。
季節がてんぷらになって出された。
僕はひとつ食べるとお茶で舌を整えて次の食材に箸を進めた。
それぞれの苦みやえぐみがそれぞれの春を主張した。
愛おしいと思った。
春を迎えられたという普通のことを純粋に幸せだと感じた。
子供の頃、苦みを美味しいとは思わなかった。
年を重ねながら味覚は変化してきたのだろう。
人生の苦しみや悲しさに出会いながら、
その深さと豊かさに築いていったのかもしれない。
東京は雪の舞い降りる中に桜が見えた。
忘れられない春景色になった。
(2018年3月22日)