「つい昨日手引きをさせて頂いたんです!
ありがとう助かりましたって言われ、わたしが幸せになりました!」
昨年出会った学生から半年ぶりくらいに届いたメールで笑顔になった。
手引きというのは視覚障害者のサポートの方法だ。
見える人の肘を視覚障害者に持ってもらって移動する。
視覚障害者の半歩くらい先を見える人が歩くという感じになる。
一般の人達は僕達をサポートする際につい僕達を掴もうとされる。
腕などを掴まれて引っ張られたり押されたりすると恐怖心が出てしまう。
でもなかなかやめてくださいとは言えない。
少々の距離だったらそのまま動く。
咄嗟に手を離して持たせてくださいと説明することもある。
少々怖くても「ありがとうございます。」と言ってしまっている僕がいる。
それは善意からの行動だからと判っているからだ。
僕達に声をかけるのにいくらかの勇気が必要なのも知っているし、
無視されるのが一番危険で悲しいことは日常の経験が教えてくれた。
だからまず感謝を伝えるのだ。
でもちょっとでいいから、知ってもらう機会があればなとはいつも思っている。
今月の末には銀行の新人職員研修に参加する。
講演と手引き体験がセットになっている研修だ。
少しずついい時代になってきているのだろう。
「教わったからこそ意識するようになり、こうなれていることがわたしも嬉しいで
す。」
彼女のメールにはそうも書いてあった。
「ありがとう」は言う人も言われる人も幸せにしてしまう不思議な言葉だ。
そしてそれを知った僕も幸せになった。
(2018年3月16日)