ホーホケキョどころではない。
まだケキョケキョさえも話せない。
でも一生懸命話している。
早朝のまだまだ冷たい空気の中で話している。
頑張って話している。
山の麓からはどれくらいの距離があるのだろう。
大声で返事をしても僕の声は届かないだろう。
そんな向こう側の声が聞こえてくるということは、
小さな身体全体を使って話してくれているということだろう。
選ばれたエリートのような話を拒否するわけではない。
僕の単純な好みなのかもしれない。
上手ではなくても精一杯話をしている姿の方が好きだ。
きっと伝えたいことがあるのだろう。
「頑張れよ。僕も頑張る。」
届かない小さな声でつぶやいた。
(2018年3月5日)