同世代の僕達は京都の小料理屋で再会した。
彼と知り合ったのは二年程前の東京での研修会だった。
お互いに見えなくなってから知り合ったのだから顔は知らない。
それぞれの暮らしぶりも思想も宗教も知らない。
知っているのはお互いの年齢と失明した時期とその原因、
そして僕は京都で彼は横浜で生きているということくらいかもしれない。
たわいもない話をしながらの歓談だった。
僕達はなんとなくそれぞれの人生を愛おしんだ。
彼は突然携帯電話で僕のホームページにアクセスしてみせた。
機械音痴の僕は携帯電話のメールもできない。
彼はインターネットにアクセスしたりYouTubeで音楽を聴いたりできるのだそうだ。
いつもそういう人に会えばうらやましいとは思うのだけれど、
生来の勉強嫌いが邪魔をしてしまう。
僕はこれでなんとかなっているからいいんだと言い訳はいつも雄弁だ。
彼の言葉から、彼が僕のブログを楽しみに読んでくれているのが判った。
時々そういう仲間に出会う。
とてもうれしくなる。
僕の言葉が仲間の思いとどこかで重なることがあるとすれば、
それはこの上もなく光栄なことだと思う。
同じ未来を見つめているということになる。
彼は知り合いの気になる20歳代の若い視覚障害者の職業について語った。
できる応援をしたいと言った。
僕も僕にできることをコツコツとやっていこう。
僕は彼と彼のチャーミングな奥様と硬い握手をして別れた。
(2018年1月29日)