視覚障害者の代筆代読、移動の支援などを行う同行援護という制度がある。
その資質向上当事者研修が二泊三日で東京で開催された。
日本のあちこちから定員を超える受講者が集まった。
全盲の方もおられたしロービジョンの方もおられた。
生まれつきの視覚障害者の方もおられたし人生の中途でという方もおられた。
性別も世代も居住地も職業も異なっていた。
思想も宗教も違っていた。
この国で同じ時代を視覚障害者として生きているということだけが共通点だった。
いろいろな意見が出た。
いろいろな考えが交差した。
それぞれの人間の個性が輝いた。
キラキラと輝いた。
見えにくい目が見えない目が未来を見つめていた。
三日間は無事に終わった。
東京から京都に帰る新幹線の中で僕は無性にコーヒーが飲みたくなった。
ホットコーヒーを注文した。
疲労感をコーヒーに混ぜながらゆっくりと飲んだ。
充実感がじわじわと身体に浸透していった。
講師としての僕はやっぱり力不足だった。
それでも充実感につながったのは何故だろう。
見たことのない仲間の笑顔が脳裏に浮かんだ。
講師と受講生、それはいつもの大学での先生と生徒という関係ではなかった。
優秀な生徒達が出来の悪い講師を支援してくれているという構図だった。
僕は心から仲間に感謝した。
僕も当事者の一人としてしっかりと未来に向かいたい。
(2018年1月22日)