みかん色を思い出しながらみかんの皮をむく。
香りの中でみかん色が鮮やかさを増す。
白い内皮を指先できれいに取り除く。
唇に触れながらみかんを吸い出す。
甘いみかんの汁が口中に広がる。
口の中でみかんの粒粒がまたみかん色を主張する。
ふとみかんを届けてくれた故郷の友人に思いを寄せる。
「とっても甘いから送るね。」
突然の電話だった。
人生の初冬を過ごしている僕達だからこそ、
そんなお洒落な理由でプレゼントを送れるし受け取れるのだろう。
素敵だと思う。
コタツに足を突っ込んで冬を楽しむ。
まだまだ人生も楽しまなくちゃ。
きっと少し黄色くなっているであろう指先をそっと見つめる。
「ありがとう」
独り言のようにつぶやいた言葉を自分の耳で聞いて笑顔がこぼれる。
(2017年12月28日)