7時02分発のバスに乗る時、
その女子高生とバス停で出会う。
「おはようございます。」
17歳の爽やかな声が朝によく似合う。
中学校の福祉授業で出会った彼女は、
それ以来僕と出会ったら声をかけてくれるようになった。
バスに乗車する際は手引きして空いている席まで誘導してくれる。
バス待ちの会話の中で、
彼女の高校も憶えたしガソリンスタンドでのアルバイトの時給まで知ってしまった。
彼女は空の青さや木々の葉の色づきなども伝えてくれる。
僕の本を読んだ経験のある彼女は、
僕の好きなものを少し知ってくれているのだ。
自然なコミュニケーションに何の支障もない。
でも彼女の顔は見えない。
それを悲しいと感じれば悲しくなるのだろう。
寂しいと感じれば寂しくなるのだろう。
しかし現実はそうではない。
見えなくてもそこにいてそこに流れる時を感じれば不思議と幸せな気分になるのだ。
7時02分発のバスに乗る朝は僕のささやかな楽しみのひとつになった。
(2017年11月9日)