11月の3連休、京都の人口密度はきっと高くなっているのだろう。
電車もバスも混んでいて座れなかったし、
乗り換えもいつもの倍くらいの時間を要した。
余裕を持って動いた筈だったのに、
ライトハウス前のバス停に到着したのは12時25分だった。
予定よりも30分遅くなってしまった。
近くの食堂で好物の豆腐丼を食べるつもりだったがあきらめるしかなかった。
13時スタートの会議、
昼食はコンビニのおにぎりに変更することにした。
僕は慎重に、でも少しスピードアップして近くのコンビニに向かった。
もう20年近く、回数にしたらきっと百回以上は利用している店だ。
だいたいの場所は判っている。
でもだいたいだ。
たどり着いたがやっぱりいつものように出入り口は探せなかった。
通行人にお願いするために足音を探したがなかなか止まってはもらえなかった。
ロスタイムをクリアしてやっと店内に入ったがお昼時で混んでいた。
僕はレジの店員さんから見える位置、他のお客様の邪魔にならない場所で待機した。
おにぎりコーナーに行くことも選ぶことも僕には出来ない。
二人の店員さんはそれぞれのレジで次から次のお客様の対応をされていた。
僕に気づいても動けないのも理解できていた。
お客様が少なくなるのを待つしかなかった。
僕はただ立ったままで過ごした。
ジリジリと時間は流れた。
12時50分、結局タイムアウトで店を出た。
お店までたどり着いて20分の時間を使って、
ちゃんとお金もあるのにたった1個のおにぎりが買えない。
少々のことではへこたれないはずなのに、
泣きそうになりながら歩いている僕がいた。
口惜しさと空腹感を抱えたままで会議が始まった。
同行援護という視覚障害者にとって大切な制度に関わる会議だった。
いつの間にか熱心に参加してしまっている僕がいた。
僕が頑張れば仲間や後輩が喜ぶことになるのだ。
会議が終わったのは17時だった。
ライトハウスを出て点字ブロックの上を歩きながらふと夕暮れを感じた。
空腹感は満足感に代わっていた。
今日はダイエットにも貢献できた日だったということにしよう。
そう思ったら白杖の音がリズミカルになったような気がした。
でもね神様、ダイエットを続ける気はまったくありませんので誤解のないように。
(2017年11月4日)