「雪虫が飛んだからもうすぐ雪が降りますよ。」
水平線を見つめながら少女が教えてくれた。
僕はコンビニのホットコーヒーを飲みながら砂浜に立ち尽くした。
砂浜はもうすぐ雪に覆われるのだそうだ。
左が小樽、右が札幌、意外なほど静かな凪の日本海だった。
岩場の近くではカモメが遊んでいた。
音色とリズムを変えながら波は歌った。
いくら聞いても飽きることはなかった。
少しずつ少しずつ僕の前に風景が生まれていった。
まるで1枚の絵画のようだった。
少女が描いてくれたものだった。
幸せだった。
そう感じたら少女の笑顔を見たいと思った。
きっと心に残る風景になるだろう。
砂浜が真っ白になったらもう一度訪ねてみたいと思いながら、
残りのコーヒーを飲み干した。
(2017年10月22日)