「真っ赤な曼珠沙華が雨に濡れていました。」
「深紅の彼岸花が咲いていました。」
「白い彼岸花を見ましたよ。」
同じ日に3人の方から3通のメールが届いた。
京都在住の3人だった。
くしくも同じ日、僕も大阪の高校で彼岸花に出会った。
同行のボランティアさんが見つけてくれて僕は近くまでいって花を触った。
朱色の大きな彼岸花だった。
酷暑の夏でも冷夏でもカレンダーを見ているかのようにこの時期に咲くのはやっぱり
不思議だといつも思う。
子供の頃は怖い花だった。
お墓の近くに咲いていた。
ちぎったりしたら火事になると聞いていた。
あまり近づいたりせずに遠くから眺める花だった。
鮮やか過ぎる色には確かに神秘的な雰囲気が漂っていた。
美として受け止められるようになったのは大人になってからだろう。
曼珠沙華という名前がよく似合うと思えるようになった。
この時期になると会いたいと思う花となった。
3人の人達もきっとこの時期の花なのだろう。
だから見つけたことを僕に伝えてくださるのだろう。
同じ日に同じ花を見て何かを感じる。
なんとなくうれしい気分になった。
(2017年9月24日)