電車が東舞鶴駅に到着した。
駅を出てちょっと歩いただけで微風に気づいた。
京都市内で感じる風ではない。
特別に潮の香りがするというわけでもないのだけれど、
間違いなく海を渡ってきた風だ。
それを感じただけで心が落ち着いていく。
不思議な感覚だ。
バス停の椅子に腰かけて風に吹かれながら、
子供の頃の懐かしい映像がいくつもフラッシュバックする。
小学校の運動場から見た海、
波止場から見た海、
島に渡る小舟から見ていた海、
海のある故郷で育ったというのはそれだけでちょっと幸せだったのかもしれない。
今はもう第三セクターになってしまったローカル線で故郷に帰省する時、
車窓から海の風景が見えてきたら胸が熱くなったものだ。
忙しさに言い訳をして飛行機の利用が多くなってしまった。
情けないことなのかもしれない。
のんびりと鈍行列車で動く方が贅沢なのを本当は知っている。
今年はまたローカル線に乗ってみようかな。
落陽の時間に合わせてね。
(2017年4月17日)