彼女と初めて出会ったのは地元の小学校の教室だった。
僕はたまたまその小学校の総合的な学習にゲストスピーカーとして参加していた。
熱心だった彼女とニュータウンの中を歩いたような気がする。
中学校での福祉授業でも出会った。
手引きや点字も勉強してくれた。
毎年いろいろな学校に出かけるけれどそれは要請があってのことだ。
昨年出かけた学校に今年行けるかは判らない。
ちなみに10年という単位で継続しているのは1割くらいだろう。
複数回出会うというのは縁があるということだろう。
ところが、たまたまなのだが、彼女とはその後も出会うことになった。
彼女が通っていた高校の先生方の研修にお招き頂き、
学校までのサポートを彼女にお願いした。
教師を目指していた彼女は教育大に進学した。
大学時代は駅で僕を見かけたら幾度か声をかけてくれた。
この春彼女は大学を卒業し大学院に進学することになった。
お祝いを兼ねてささやかなランチタイムを一緒に過ごした。
食事の後、彼女の手引きで烏丸通りをのんびりと歩いた。
出会った時僕の胸までくらいしかなかった少女は僕よりも少し高くなっていた。
手引き、そこにつながる理解、彼女は10年以上の経験があるということになる。
実際、技術もプロ級だった。
僕は春風を感じながら歩いた。
そんな余裕があったということだろう。
思いを込めて祈りながら種を蒔く。
見えない向こうに種を蒔く。
答えが出るにはやはり時間がかかる。
でもきっと発芽する種があり育ってくれる種がある。
希望を失わないことの大切さ、
春風がささやいた。
(2017年4月4日)