細かな雪が顔に当たったのも判っていた。
風の冷たさも感じていた。
まだまだコートは脱げないと思っている。
それなのにどうしてだろう。
春一番が吹いたニュースを聞いたからでもない。
僕の目は光を感じることはできない筈なのに、
ふと日差しの柔らかさに気づいている僕がいる。
その柔らかさが日々膨らんでいることも知っている。
きっと目以外の感覚でそれを感じているのだろう。
そしてその瞬間を幸せだと思う僕がいる。
目が見えることと見えないことを比べれば、
見える方がいいに決まっている。
それなのに幸せな気分には何の隔たりもない。
いつでもどこでもどんな状況でも、
人は幸せになれるってことなのかもしれない。
幸せを感じると僕はすぐ次の幸せを追い求めてしまう。
日差しの柔らかさを感じながら梅の花を思い出し、
梅のお菓子を食べたいなと想像してしまう。
まだまだ修行が足りないってことかな。
(2017年2月22日)