故郷の鹿児島から春姫がやってきた。
届いた春姫を水洗いして口に運んだ。
早春の香りがした。
齧ると甘さの中に確かにほんの少しの苦みもあった。
生まれたての春の味だ。
つい手が出て何粒も口に運んだ。
ラジオのニュースは寒波の襲来を告げている。
本当の春はまだ遠くらしい。
ぼぉーっとしながらまた一粒口に運んだ。
微かな苦みが幸せにつながっていくことに気づく。
ふと自分の日々の活動に思いを寄せる。
春は遠い。
でもきっと来る。
そこに向かって歩くこと、
希望に向かって歩くこと、
その道程が僕の幸せのひとつなのかもしれない。
(2017年2月9日)