東京での定宿になっている高田馬場駅前のホテルを出て、
研修会場までのなだらかな坂道をガイドさんの肘を持って急ぎ足で歩く。
京都では単独での移動が多いのだが、
出張先ではガイドさんやボランティアさんに頼ることになる。
ホテルの部屋はどこでも同じような構造だし、
困ったらホテルスタッフに尋ねればなんとかなるからホテル内は問題はない。
朝食のバイキングがちょっと残念に感じるくらいだ。
料理のチョイスに時間をかけたりお代りをお願いしたりに気が引けてしまう。
これは僕の小心者のせいもあるのだろう。
つい我慢してしまうのだ。
結局コンビニのおにぎりを準備することが多い。
身支度を整えてホテルを出るところまでは自分でできる。
そこから先は右へ行くのか左に向かうのかさえ判らない。
頭の中に地図がない場所ではどうしようもない。
通行人にサポートを依頼しても目的地までの時間がどれくらいかかるかも判らないし
リスクも高い。
予約していたサポーターの目と肘さえあればいつものように歩けるのだ。
いつものように歩けばいつもの暮らしがある。
いつものように感じられる平穏がある。
今日もガイドさんと歩いていたら真冬の冷たい北風が僕の顔を下から押し上げた。
北風に押し上げられた顔が空を向いた。
今年初めて出会う冬枯れの空がそこにあった。
淡い水色の空だ。
うれしくなった。
(2016年12月11日)