小さなお仏壇の周囲をそっと手でなぞる。
仏花もお供えもそっと触る。
線香を立ててもらって、それから自分で鐘をたたく。
自然に合掌する。
日常、僕には特別な信仰心はない。
お通夜でもお葬式でもどの宗派でも合掌するし、
お正月には神社に詣でる。
クリスマスには教会に出かけたこともある。
敬虔なイスラムの信者の友人がお祈りをし、
豚を食べない様子を素敵だと感じる。
それなのにそこにたどり着かない僕は何故なのだろう。
命が終わったら土に帰るだけだと思ってしまっている生意気な僕がいる。
でもこうしてお盆に合掌すると心は落ち着く。
不思議なものだ。
記憶にあるご先祖様の顔を思い出す。
とうちゃんの顔も思い出す。
お線香の香りが心にまで浸みてくる。
鐘の音が呼吸と共鳴している。
間違いなく僕は真剣に祈っている。
祈る時、僕自身も清らかな気持ちになっている。
お盆は好きです。
(2016年8月17日)