講座の中での僕は厳しいとよく言われる。
若い学生達が対象の場合など語気を強めたりするのも珍しくない。
特別に厳しくしなければとは思っていないし効果的だとも思わない。
穏かな時間の中でしっかりと伝えられればそれが一番いい。
僕自身の力量が不足しているのかもしれない。
ただなかなか伝えられない時に、
いろいろな学生がいるからと簡単にあきらめることはできない。
仕事だからと割り切ることもしたくない。
いつも真剣に必死になっている僕がいる。
未来を託そうとしているのかもしれない。
裏返せば、未来はまだまだ遥か遠くということになるのだ。
見える人も見えない人も見えにくい人も、
皆が笑顔で参加できる社会、
一歩でもそこに近づきたいと思っている。
そのために活動している。
三日間の講座を終えて会場を出ようとした時、
「一緒に記念写真を撮ってください。」
学生達が僕を取り囲んだ。
僕は笑顔でカメラの方角に視線を向けた。
撮影された記念写真を僕が見ることはない。
それを理解したうえで一緒に写ろうと言えるようになった学生達、
僕と一緒にそれぞれの笑顔でカメラを見つめられた学生達、
僕はとてもうれしく感じた。
成長してくれたのだなと感じた。
僕達が一緒に見つめたカメラの向こう側に、
きっと未来が輝いている。
(2016年7月15日)