「サインしてください。」
少女は恥ずかしそうに小さな声でささやきながら、
「風になってください2」を僕の手に載せた。
僕は表紙を開いて、
最初のページに少女の名前と僕の名前を書いた。
それから一緒に写真も撮った。
そしてしっかりと握手をして本を少女に渡した。
1部始終を見ていたサポーターが、
少女が終始満面の笑みを浮かべていたと教えてくれた。
それを聞いて僕もとてもうれしくなった。
僕が子供だった頃、
見えない人は悲しい存在だった。
それは見えない人だけではなくて、
聞こえない人も歩けない人も知的障害の人もすべてそうだったと思う。
どこかですれ違っても正視することさえはばかれた。
誰が教えるでもなく、いつの間にかそう感じるようになっていた。
きっと社会の未熟さゆえのことだったのだろう。
そんなに悪意があったとも思えない。
それに比べれば、少女の柔らかな感性は別の次元のものなのかもしれない。
この少女達が創る未来はどうなっていくのだろう。
何かワクワクするような感じさえする。
(2016年2月27日)