15歳になった少女は、
僕の講演会に足を運んでくれた。
知り合ったのは彼女が4年生の時、小学校での福祉授業だった。
それから街頭での募金活動に一緒に立ってくれたり、
何度か会っている。
春から高校生、何かボランティア活動をしたいと申し出てくれた。
高校の勉強などもあるからどれだけ具体的なことになるかは判らないが、
そんなことを考えるように成長してくれていることをうれしく感じた。
身長も高くなっていたし、声もちょっと大人びてきていた。
プレゼントに渡してくれた小箱には、
折り紙で作られた一輪の薔薇が入っていた。
彼女の手作りだった。
そっと触れたら、僕の指先が薔薇の花弁を感じた。
見えない僕が感じられるように
彼女の指先が真心を織り込んでくれたのだろう。
講演会のテーマは「幸せ」だった。
僕は幸せは他人が決めるものではなくて自分の心が決めるものだと思っている。
目が見えるとか見えないということと「人間の幸せ」とは直接の関係はない。
ただ、錯覚をしてしまいがちなのは事実だ。
それは個人の問題ではなくて、社会の成熟度に起因しているような気がする。
一輪の薔薇、とっても幸せな講演会となった。
(2016年1月19日)