僕以外に2人の視覚障害者の後輩と1人の晴眼者の友人、
僕達はそれぞれの好きな歌をそれぞれに歌った。
3人は画面が見えなくて歌詞が読めないのだから、
友人がそれぞれの歌詞を耳元で先読みしてくれた。
友人にとっては結構忙しい大変な時間だったかもしれないが、
皆の笑顔がそれを超えていたのだろう。
友人からしんどさは伺えなかった。
音楽は聞くのは好きだけれど知っている歌の数も少ないし特別うまくもない。
カラオケに行くのも学生達との年に一度か二度のお付き合いくらいだ。
その僕も久しぶりに大声を張り上げて歌った。
歌うって気持ちいいなと身体が喜んでいるようだった。
今年も後数日となったこの時間に、
ここに集えることを自然にうれしく感じていたのだろう。
後輩が最後に歌った曲に
「誰もがいつかこの星を去っていく」というような歌詞があった。
澄んだ声が僕の心にしみ込んだ。
僕は実感として、
この星を去るまでにあとどれくらいの時間があるのだろうかと思った。
そんなことを考え始める年齢になってきたのだろう。
勿論それは誰にも判らないのだけれど、
大切にしなければならないことを大切にしながら、
しっかりと生きていきたいと思った。
そしていつか誰にも気づかれずに
静かにこの星を離れていければいいなと思った。
(2015年12月30日)