2004年、僕は「風になってください」を出版することができた。
僕のメールを読んで本を書くことを勧めてくださる人達がいて、
そして実際に様々な協力をしてくださった。
いろいろな人達の応援で出版ということが実現したのだ。
そしてもっとラッキーだったのは、その本を多くの人達が支持してくださった。
もう10年を超えた本が今でも少しずつ社会に出回っている。
そのお蔭で2冊目、3冊目の執筆のチャンスにも恵まれたし、
講演などの機会も増えた。
社会にメッセージを発信する手段として、
僕の大きな力となってくれている。
関わってくださった皆様に心から感謝したい。
そしてその流れのなかで、
故郷の高校時代の同窓生達が毎年素敵なプレゼントをしてくれる。
同窓生達は「風の会」というグループを作って皆で手分けして
子供達に伝える機会を作ってくれるのだ。
毎年10月の第二週、僕は薩摩川内市でその活動に参加している。
同窓生達は交代で一週間僕のすべてをサポートしてくれる。
日常まだまだ障害者の人達と関わる機会が少ない子供達にとっては、
きっと貴重な経験となっているだろう。
見える人も見えない人も見えにくい人も、
皆が笑顔で参加できる社会をイメージしながら、
僕もいつも全力で取り組んでいる。
今日も小学校で子供達と素敵な時間を共有し、
今日の係の同窓生の車でホテルまで送ってもらった。
道中道端のコスモス畑に気づいた彼女は突然車を停めた。
僕をサポートして畑に入ると、
僕の手をとってピンク色のコスモスの花を触らせてくれた。
一面に薄いピンク、濃いピンク、コスモスが咲き乱れていた。
コスモス畑の向こう側では金色の田んぼが広がっていた。
金色?と聞き返す僕に、
彼女は自信をみなぎらせながら金色と復唱した。
豊かな秋の風景が豊かな時間の中にあった。
こうして故郷の子供達に出会うようになって11回目の秋となった。
出会った子供達の数はもう1万人を超えているらしい。
秋の風を感じながら、この活動を支え続けてくれている同窓生達に心から感謝した。
(2015年10月14日)