雨上がりの朝、団地の近くの小道を歩いていたら、
突然冷たいものが顔に当たった。
よくあることなので、
一瞬で雨に濡れた草だと思った。
通り過ぎて数歩進んだところで、
もしかしてと思ってしまった。
頬に当たった感触でそう思ったのだろう。
引き返してそっと手を伸ばしたら大当たり。
僕の指先に触れたススキの穂が笑った。
予想が当たって上機嫌になった。
そこからしばらく、
「小さい秋見つけた」の歌を口ずさみながら歩いた。
見えていた頃、道端のススキに気づくことはあまりなかった。
見えていたはずなのに、気に留めなかったのかもしれない。
見えなくなってから見えるようになったこともある。
少しだけど、あるような気がする。
僕の幸せのひとつかな。
小さい秋、見つけた!
(2015年9月25日)