「はい、ゆっくり息をはいてぇ~」
先生の声に合わせて僕達は呼吸をする。
元々そうなのか、ヨガによるものなのかは判らないけれど、
とっても美しい声だ。
声自体がすうっと入ってくる感じだ。
先生は素人の僕達にも判りやすいように
身体と心のバランスなどをゆっくり説明しながらそして笑顔で教室を進めていく。
ライトハウスのホールに集まった50人近い視覚障害者は
いつのまにか魔法をかけられて心地よい気分になっていく。
先生にとっては生徒が目が見えるとか見えないとかはあまり関係ないのだろう。
時折語られる肩の凝らない話やたわいもない冗談は自然体そのものだ。
先生と出会ってもう何年だろうか、
どういういきさつだったのだろうか、
さわさわでのチャリティヨガ教室を毎週のように開催してくださっている。
継続ということがどれほど大変なことかは僕はよく知っている。
直接出会う機会はなかなかないのだけれど、
関係者やスタッフに尋ねると
やっぱりいつも先生は自然体なのだ。
そよ風みたいと表現していた人もいた。
活動はさわさわから発展して市内の視覚障害者団体やライトハウスまで広がってきて
いる。
ちょっと申し訳ないという気はあるのだけれど、
笑顔になれる人が増えるのだからいいのだと勝手に解釈している。
先生と出会う度に僕も自然体にあこがれる。
でも何回か教わったヨガをしっかりやり続けようとはしない。
努力とか継続とかは本当に苦手なのだろう。
苦手と思うことが身体と心がアンバランスということなのかもしれないな。
今夜はせめて腹式呼吸をちょっとやってから眠ります。
(2015年6月14日)