8時10分、京都駅の地下鉄中央改札口で待ち合わせだった。
通勤通学の時間帯とぶつかってしまい、
電車も途中の乗換駅も混雑していた。
僕はホーム一杯に膨らんだ人波の中、
点字ブロックを白杖で確かめながら恐る恐る歩き始めた。
「肘を持ってください。」
突然僕と同世代くらいの男性の声がした。
「ありがとうございます。助かります。」
僕は瞬時に彼の肘を持たせてもらい、
ホームからエスカレーター、そして改札口へと安全にそして安心して移動した。
改札口で彼と別れて、そこから地下鉄を乗り継いで京都駅へ向かった。
サポートがあると時間もだいぶ節約できる。
彼のお蔭で予定の時間よりも早く到着できた。
友達を待つ間、のんびりと穏やかな気持ちだった。
助けられるということは、
ただ助かるということだけではなくて、
心までがあたたかくなる。
そして、ありがとうございますという言葉が自然に出てくる。
ありがとうございますを口にするたびに、
僕自身もやさしくなれるような気がしている。
「ありがとうございます。」
魔法の言葉かもしれない。
(2015年4月23日)