洗濯物を干すためにベランダに出た。
目が見えないからいろいろなことを家族にしてもらっていると思われがちだが
現実にはたいていのことは自分でやっている。
目が見えていた頃よりも自分でやることが増えたかもしれない。
例えば洗濯した衣服を自分で片づければ、
どこに片づけたかを記憶できる。
次回取り出す時に自分で準備できる。
その方が合理的だから自分でやるようになった。
洗濯機には点字の操作案内が付いているので問題なく使える。
手洗いなどの特別なメニューを選択したりする時は家族に手伝ってもらうし、
洗剤を選ぶのも頼んだりする。
僕はどんな洗剤でもいいのだけれど、
家族は加齢臭対策にすぐれたものを選ぼうとするから笑ってしまう。
洗濯ものを干し終えて部屋に入ろうとしたら、
ウグイスのホーホケキョという見事なさえずりが聞こえた。
僕が洗濯物を干すのを見ていてくれたのかもしれない。
ご苦労様と言ってくれたのかな。
今僕は春の中にいるのだなとうれしくなった。
(2015年4月7日)