この冬一番強い寒気が訪れた朝、
僕は1時限目から小学校での福祉授業だった。
体育館の中ではコートをすり抜けた冷たさが身体にしみ込んできた。
手も足もかじかんだ。
僕も大変だったけど子供達も大変だっただろう。
それでも子供達は集中して話を聞き、真剣に手引き体験をしてくれた。
子供達と一緒に給食をいただき学校を出ようとした時、
一人の少年が駆け寄ってきた。
「サイコロを作ったのでお土産に持って帰ってください。」
僕の手のひらに一辺が2糎くらいの紙でできた立方体が乗せられた。
どうやって作ったのかという僕の質問に、
少年は折り紙を4等分にしていくつかの色を併せて作ったと説明してくれた。
そして、ありがとうございましたと深々と頭を下げて去っていった。
学校を出てからサポーターにポケットの中のサイコロを出して見てもらった。
薄緑色、緑色、黄色、白色が幾何学模様のように見える色合いだった。
大人が素敵だと感じるくらいの作品だった。
僕はその色合いをイメージしながら、生まれ始めている春を感じた。
まさか、少年がそこまでイメージしたとも思えない。
でも確かに、サイコロと少年と春が僕の中でひとつになった。
(2015年2月11日)