今年も春姫というブランド名のキンカンが届いた。
鹿児島県在住の小学校時代の友人が届けてくれるのだ。
南薩摩地方で生産されているキンカンの中で、
一定の糖度、サイズ、色をクリアしたものだけが「春姫」と名乗れるらしい。
水洗いした春姫をそのまま口に放り込む。
あのキンカン特有の微かな苦さや酸っぱさも残しながら、
口中に広がる甘さを持ち合わせている。
一度食してからすっかりファンになり、
毎年待ち焦がれるプレゼントのひとつになってしまった。
本当においしいと感じたのには、自分でも驚いた理由がある。
最初の時に、届いた春姫を口に入れかじった瞬間、
瑞々しい光沢のあるオレンジ色を思い浮かべたのだ。
キラキラと光っていた。
まさに春が始まるような色だった。
見える人に確認したら、僕の想像と合致していた。
味覚がそのまま色覚につながることってあるんだなと、
自分でも感心した経験だった。
コタツで雪のニュースを聞きながら、
口と脳で今年の春の始まりを感じている。
そしてうれしくなっている。
小学校時代の友達が大人になって再会しこれを届けてくれているということも、
うれしさを増幅させているのは間違いない。
小学校を卒業して46回目の春、
元気で迎えられるということ、
それだけでも幸せなことだ。
(2015年2月6日)