火曜日は大阪、水曜日は東京、
そして木曜日大学の授業を終えてから夜行バスで熊本に向かった。
京都から熊本まで12時間かかった。
熊本の朝の空気を吸った時、
身体はとても疲労を感じていたのに気持ちは晴れやかなのを自覚した。
熊本県点字図書館での講演は、点訳や音訳に関わってくださっている人達が対象だっ
た。
そして僕を招いてくださるきっかけは僕の著書を読んでくださった仲間の声だった。
まさに光栄そのものだ。
集まってくださった人達へ感謝を込めて話をしながら、
僕自身の幸せを確認するひとときにもなっていた。
助け合える人間の社会で、まさに助けられて生きている僕がいる。
小学校の修学旅行で見た熊本城を断片的に憶えている。
反り返った城壁に驚いたものだ。
もう見ることはできない。
それはそのまま悲しみになっても不思議ではないのに、
講演会場にはそれを感じさせない幸福感があった。
集まった人達のやさしさが会場に溢れていた。
人間のやさしさって本当にすごい力を持っているのだ。
見えない人にしあわせさえも見せてくれるのだ。
(2015年1月17日)