17時10分、JR高田馬場駅、
山手線の電車を待っている時間は数十秒だったと思う。
「これから京都のお家へ帰られるのですか?」
僕のサポートをしてくださった駅員さんが尋ねられた。
チケットが東京から京都までとなっていたのでそう思われたのだろう。
「そうです。」と答えた僕に、
「京都の人は柔らかな言葉でいいですね。」と感想を述べられた。
改札口でサポートのお願いをした時の言葉にそんな雰囲気があったのかもしれない。
僕は鹿児島県阿久根市の出身で故郷なまりもしっかりと持っている。
どう頑張っても京都の言葉をそれらしくあやつることは出来ない。
でももう30年以上も暮らしているせいでそれっぽくはなっているのだろう。
ちょっと照れくさかったけれど悪い気はしなかった。
電車が到着してラッシュの車内に乗り込んだ。
手すりを持たせてくださった駅員さんに、
「おおきに」とできるだけそれっぽい口調で感謝を伝えた。
そして自然に笑みがこぼれた。
ドアが閉まって電車は動き始めた。
東京駅からのぞみに乗車の予定だったので30分は立ったままだなと思った瞬間、
「よろしかったらお座りになりますか?」
美しい響きの東京弁の女性の声がした。
「おおきに。」僕はまたお礼を言った。
朝6時の出発はつらい気持ちもあるけれど、
今年最初の東京、あたたかな気持ちでのスタートとなった。
どこの言葉でもやさしさがある言葉はうれしい。
うれしい気持ちは疲れも少なくしてくれるようだ。
やさしい言葉の持ち主にたくさん会いたいな。
(2015年1月14日)