「僕達が見えなくても、僕達と視線を合わせて話をしてください」
僕は研修の冒頭で参加者の皆さんにお願いした。
アイマスクでの昼食体験やガイドの実習なども含めて
6時間の研修は結構ハードだった。
企業の利益には直接反映されない研修なのに、
たくさんの人が参加してくださり真剣に取り組んでくださった。
心地よい疲労感と充実感が、
伝えようとする僕達と学ぼうとする人達との間に広がった。
これから白杖の人を見かけたらサポートしますとか、
僕達の仲間の幸せにつながる仕事をしますとか、
家族に伝えますとか、
うれしい感想がならんだ。
研修を終えて会場を出ようとしたら、
京都にゆかりがあるという参加者が声をかけてくださった。
ほんの数分間の立ち話だったが、
彼はしっかりと僕の目を見つめて話してくださった。
そして笑顔だった。
僕は自然に握手をした。
同じ未来を見つめていることを感じた。
(2014年10月27日)